プランナーとして施主様の想いをどう形にしていくかポイントになりますが、施主様の気持ちに寄り添い、共感し、なりきり、どうするか、どうしたいかをとことん追求します。施主様の考えを建築的な側面から実際の生活をできるだけ具体的にイメージして考えるのがプロの提案です。 生活の中で自然体で居られるか、動線や生活スタイルや習慣、趣味、くせ、時間帯、家族、全て可能な限りイメージして、建物の作りやプランの部分でストレスを感じることのないように空間をくつっていくことが理想です。当然、お客様の気持ちにリンクするためにヒアリングは大前提。考え方を共有できるようになるために、まずは仲良く、近しくなれることが一番の近道だと思います。
プラン検討もある程度進んでいた頃、具体的に商材仕様決めで実際にショールームを廻り、その後、2人で話をしながら青山通りを都心方面へ歩き、途中お蕎麦屋さんでお昼を食べました。このお店が和風のとても素敵な造りで、洗い出しの床をはじめ、落ち着いた色を基調にして、ところどころ大きな無垢の大判板がダイナミックに配置されており、インテリアにも同じ無垢板が使用されていました。実はこのお店が今回の内装コンセプトを決める上で重要なベースイメージとなりました。 その後もショールームを巡り、N様馴染みのお店で夕食をご一緒させて頂き、これまた大いに話しが盛り上がってしまいました(笑) 1日色々なお話を伺い、N様が大切にされたいものは人の手で作ったという温もりがわかるようなもの、想いが入っているもの、そんな温かさを持ったものかなと感じました。その想いがしっかりとあるからこそ、家を大切にする気持ちが生まれ、次の世代へ引き継がれるのだと思います。 この日、駅の改札で別れるときにN様から「萩原さん任せる覚悟が固まったよ^^」と握手をしていただいたのをほろ酔いの中でしたがはっきり覚えております。
私が普段職人さん達に伝えようと努力していることは「ここに住む人はこんな人たちで、こんな意図があるから、こんなかたちにするんです」という点です。「意図」や「想い」が伝わると、指示以上のものまで考慮して施工してくれる、そんな嬉しい想定外が意外とたくさん起こったりします。同じ設計図からできるのに、そういう想いがあるものとないものとでは、全く完成の形が違ったりしてしまいます。工事終盤の仕上の工程の頃何人もの職人さんから「ほんとうにいいお家だね」と言っていただいたことがありました。この建物に関わることが、いい仕事をする上でのモチベーションになってくれているということは、プランナーとしてこんなに嬉しいことはありません。 リビングの無垢カウンターを塗装してくれた塗装屋さんが興奮気味で報告の電話があり、その声から完了直後の嬉しさが伝わって来ました。施主さんと一緒に選んだイヌマキのカウンターを材木屋さんが木造りし、大工さんが無事に納めてくれたあと、塗装屋さんが美しく仕上げる。色々な人が関わってひとつのものがひとつの場所に納まっていきます。 皆でつくりあげたN様邸に関わることが出来て、本当に幸せだったと心から想っています。
「いつでもお客さんを連れておいで」N様からいただいた言葉で最も嬉しかったのはこの言葉です。お引渡し後も何度かお邪魔させて頂き、実際にお客様が生活する様子を見せて頂き、大変興味深く勉強になります。実際に想定したとおり生活をされているのか、あそこはどうだったんだろう。。。色々な思いで見てしまいますが、そんなちょっと不安な思いの中で「とても満足している」という旨の言葉をいただけることは本当に嬉しい限りです。 さらに当社で打合せを進めているお客様にも「施工事例として実物を見ていただくのが一番だろう、いつでも連れておいで」と言って下さるN様には感謝の気持ちでいっぱいです。